京都三大奇祭の一つ、桜をしずめるという「やすらい祭」はどんな祭り?
2020/07/15
はなしずめの祭り、というのをご存知でしょうか。
さくらが舞い散るころ、目に見えない鬼や疫病神がさくらに誘われて騒ぎ出すので、彼らをしずめるために行われるお祭りです。
ちょうど春の時期、三寒四温の季節の変わり目に病気がはやりやすいので、これは疫神が悪さをしているんだろうと考えられたのでしょう。
漢字で書くと、鎮花祭(ちんかさい・はなしずめのまつり)。
とてもロマンがあって、なおかつ桜の持つ神秘的なイメージを感じる名前ですよね♪ 京都のお祭りの中で一番好きな名称です。
京都の春の祭りの先駆けと言われ、この祭りが好天に恵まれると一年の祭りの天気まで占うと言われるやすらい祭を紹介いたします。
三大奇祭の一つ
京都三大祭、というと祇園祭・葵祭・時代祭なのですが、他に、京都三大奇祭と呼ばれるお祭りがあります。
それが、やすらい祭(今宮神社)、鞍馬の火祭(由岐神社)、太秦の牛祭(広隆寺)の三つ。
鞍馬の火祭は、時代祭りと同じ日に開催されることもあって、大勢の観光客が詰めかける有名なお祭りですね。私、このお祭りを見に行くために駅で三時間並んだことがあります……
一方、牛祭はというと、最近めったに開催されることがありません。復活してほしいものです。
そして今回のテーマであるやすらい祭。以前は4/13に固定されていましたが、近年は4月の第2日曜日に変更され、お祭りを見に行きやすくなりました♪
やすらい祭 2014
やすらい祭の歴史
やすらい祭の行われる今宮神社のある地域(京都市紫野)では、古くから疫神が祀られていたそうです。
平安時代、疫病の流行ったことがあったのですが(994年)に、それを心配した朝廷によって、紫野の疫神をお神輿にお乗せし近くの船岡山に安置して神霊を慰め、疫病がおさまるようにと祈られました。このお祭りは、今でも今宮祭として残っています。
その際に、市井の人々が船岡山に詣で、きれいに飾った花笠を掲げて歌い踊り、疫を人型に移したのちに川へと流しました。これが、やすらい祭になったと言われています。
起源が同じお祭りのように思えますが、勅令で始められたのが今宮祭、そして庶民の祭りとして始まったのがやすらい祭と考えられます。
1001年には、お神輿が再び紫野へ戻され、そこに建てられたお宮に安置されました。これが今宮神社の起源です。
当時はすでに厄病除けのお祭りとして洛中で祇園祭が行われていたので、「新しい厄除けのお祭り」という意味で「今の宮=今宮」と言われるようになりました。
新しいと言っても千年以上前の話ですから、その当時の名前のまま現代に伝わっているというのが面白いですね。
ちなみに、今宮神社門前にあるあぶり餅のお店は1000年開業と言われ、お祭りの際に奉納された斎串にお餅を挿して焼いたもので、食べると厄除けになると言われています。
小さくちぎったお餅をあぶって、甘いお味噌をつけただけという素朴な和菓子なのですが、かみしめると千年の時を感じる事が出来ます♪
やすらい祭の巡行
やすらい祭の見どころは、なんといっても巡行なんです。
船岡山の時代からおこなわれていた、大きな風流傘(華やかに飾り付けられた傘)が目を引きます。この傘の下には入れてもらう事が出来るので、是非入ってみてください。お願いするときは少し緊張しますが、病気にならなくなると言われてます。
赤鬼・黒鬼に扮した若者たちの踊りも欠かせません。鉦や太鼓を鳴らしつつ飛んだり跳ねたり、結構ハードな踊りで、ひらひらと翻る衣装を見ているとわくわくしてしまいます。
氏子の家々を巡りながら踊らないといけないので、踊っている方は大変でしょうけれどね。
見どころがたくさんなのですが、私が一番好きなのは、その際にうたわれるお囃子です。
“やすらきたる、やすしや
花や咲たるや、やすらい花や
や、富草の花や、やすらい花や
……(中略)
寝なましかばや、とりたたましや、たたましや、
いま争わで、寝なまし殿を、いま想い出て、あなしたら恋し”
花よやすらえ、という唄が、いつの間にか殿を思う唄になっているのです。
桜の花と恋のイメージが交わっていて素敵なんですよね。
場所情報
今宮神社
やすらい祭 4月第2日曜 12時~17時 雨天中止
住所 京都市北区紫野今宮町21
電話番号 075-491-0082
アクセス 京都市バス46番 「今宮神社前」バス停下車 徒歩すぐ
1番・12番・204番・205番・206番・北8番・M1番『船岡山』下車 徒歩7分
まとめ
京都に春を告げる「やすらい祭」を紹介させてもらいました。
三大奇祭として有名な割に、地元の人たちが多いお祭りなので、それほど窮屈な思いをせずに見る事が出来るのでお勧め。
桜の舞い散る中を踊るという風情のあるお祭り、是非一度ご覧になってくださいね。